『ワイルド・ソウル』はやはり傑作でした。
『ワイルド・ソウル』(幻冬舎文庫)
垣根 涼介 (著)
価格:¥720
先週読んだ「クレイジーヘブン」では垣根諒介を酷評してしまいましたが、まだ読んでいない「ワイルド・ソウル」をこの連休に読んでみることにしました。
本作は、原稿枚数1314枚という長編で、戦後の外務省の口減らしとも言える中南米への移民政策が犯した罪という根の深い題材を綿密な取材と調査を基に、犯罪小説として仕上げたスクールの大きな作品となっています。私が読んだ彼の作品の中では、この作品が最高傑作と言ってもいいですね。
貧乏くさい日本人-と表現されているように、日本人の国民性に対する国際的評価は、そんなものでしょう。貧乏くさいとは、金に執着しているということではなく、経済的な劣等感が日本人の心的ストレスになっているという意味であり、この作品に登場するブラジル移民である衛藤が後に事業に成功し、外務省への復讐を目的とした事件を企てるに当たって、実行の協力者である山本に金を渡す件で、次の言葉を借りて表現されています。
「金で幸せになることはない」
「だが、生活を潤すことはできる。不安はなくすことができる。必要なものだ」
「金で幸せになることはない」と言える人は、どれだけいるでしょう。金さえあれば、もっと幸せになれるのに-多くの人はそう感じているはずです。しかし、衛藤の言うように金は生活を潤し、不安をなくすために必要でこそあれ、それ自体が幸せを導いてくれるものではないですよね。
日本の貧乏くさい国民性は「金さえあれば、もっと幸せになれるのに」という潜在意識が誘導しているに他ならないのではないでしょうか。この著作は、南米社会についての、日本とは比べ物にならないくらいに過酷な日常生活を描きつつ、自分の思ったこと感じたことをストレートに表現し、実行する素直な南米人の姿も活き活きと描いていて、その人間的な魅力からエネルギーを感じ、精神的に解放されていく気がします。
多分、国民性という言い方で逃れてはいけませんね。今からでも遅くない、そういう精神的な解放感は、不幸を不幸と思わせない、別の次元での幸福感を味わせてくれる、それに気づくべきなのかもしれません
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コメント
purucorgi さんのブログは,どの記事も勉強になる!(*゜∀゜)

というか,勝手にお勉強させてもらっています(笑)
> 「金で幸せになることはない」
麗香は,ハッキリそう思いますよ(´∀`*)


衣食住その全てが最高クラスのもので満たされた後にやってくる
物的満足感さえ感じられなくなる空虚感
ただただお給料日にギャラが振り込まれ,使い切れない.
想像を絶する贅沢三昧(リーマンCEOには敵わないが…笑)を
若いうちにしてしまうことは,「不幸だ」と感じました
『パパラギ』を読んで,なぜか心が軽くなったことを覚えています
結局,上っ面だけの経済的な「豊かさ」に飽き&空しくなり→
人の役に立ちたいと思い,高齢者施設でのボランティアに走り→
福祉・介護を教える立場になったというオチ(^ω^)
しかし,何でも「やるだけの事はやった!」という経験がなければ

実感するのは難しいですよね(^-^;)
れいか
投稿: れいか | 2009年1月19日 (月) 03時36分
>れいかさん
そういう背景があったのですか…
不思議な人だと思ってました(^-^;
あるブログで、
「私はお金はくさるほどあるんで別に誰をも恐れない。だから本音をのみいう。これはないだろ!!!」
と酩酊状態で記事を書き、翌日、「願望と現実を混同していました」なんて誤ってましたっけ…
金がくさるほどあれば、恐れるものはなくなる - その方は、そう思ったのでしょう。逆に、「おれには、何もないから恐れるものなど何もない」という人もいますね。
恐れとは何か、ゆっくり考えてみようと思います。
投稿: purucorgi | 2009年1月19日 (月) 09時03分