『午前三時のルースター』垣根涼介の原点に戻ってみました。
『午前三時のルースター』 (文春文庫)
垣根 涼介 (著)
価格:¥620(税込)
私が、垣根涼介の本に初めて出会ったのは「真夏の島に咲く花は」で、2006年の発売です。これはフィジーが舞台となっているのですが、1997年に全くフリーで、フィジーのぐうたら生活を送ったことがあり、 懐かしく思い出しておりました。フィジーは一時、政情不安となり、観光客からは敬遠されていた時期もありましたよね。私が訪れた時は呑気な時代で、「脳ミソの皺が伸びる」とはこういうことかと帰国後に実感したのを覚えています。
さて、垣根涼介の近年の著作は、ちょっとテイストが合わない感じがしていましたが、原点に帰り、2000年の第17回サントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞のデビュー作『午前三時のルースター』を読んでみることにしました。本作の舞台はベトナムであり、昨年マレーシアに異動した公認会計士さん、先週いきなり「タイに行く」と言い始めた人もいたりして、それに触発されてのことです。
偶然にも『殺人ピエロの孤島同窓会』の舞台になっている東硫黄島(トーゼン実在しません)をGoogle Mapで追っていき、西に行くと、そこはもう東南アジア。そう言えば『午前三時のルースター』はベトナムが舞台だっけ…と思ったら無性に読みたくなったっていうわけです。
この作品は著者が旅行代理店に勤務している時期に書かれたものであり、ベトナムの描写が素晴らしいですね。やはり経験者じゃないと書けそうにない(真夏の島に咲く花は」のフィジーの描写も良かったけど)。そこに住む人、その背景、歴史がストーリーにうまく噛み合っていて、行ったこともないのに自然に引き込まれていくんです。
近年の彼の作品の多くに見られるワイルドさは控え目で、若くて粗っぽいところが新鮮に感じました。実はこれまで読んだ彼の著作の中では、一番良かったかもしれない。
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