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2008年10月31日 (金)

海堂尊の三部作と並行して進行するもう一つのストーリー

「チーム・バチスタの栄光」が、10月からTVドラマ化されて既に3回の放送を終えました。白鳥が仲村トオルというのは、キャラが違うという当初懸念しましたが、それを振り払う見事な演技力です。仲村トオルは実は3枚目が上手いんですね。田口先生が伊藤淳史というのは、未だに違和感があり、バチスタはこれで行けたとしても、続編を読んでしまった私としては、2作目以降がTV化された場合、このキャスティングは続かないだろうと思いっています。
今月上旬には、産科医不足により、脳内出血の妊婦が緊急時受け入れ先が見つからず、たらい回しとなった妊婦が死亡するという事件が発生しました。これは海堂尊『ジーン・ワルツ』でも暗に予告されていたことで、いつかは爆発するであろう地雷をとうとう踏んでしまったと感じました。厚生労働省が大学病院の医局制度解体を打ち出したことで、地域医療の崩壊が進んだ一方、地方の病院が次々と経営難に陥り、そのことが地方総合病院の医師不足に繋がるという悪循環が続いています。地域医療は、大学医局が多少無理をしても医師の人材をやり繰りして成立していたという実態を軽視していたのでしょう。地域医療の再構築は地方自治体には荷が重すぎるし、厚生労働省の医療政策を問うような議論の高まりも今ひとつ。こういった問題が、政治上の重要課題として取り上げらず、選挙においてもプライオリティーが低いことが不思議な気がします。

螺鈿迷宮 『螺鈿迷宮』
海堂 尊 (著)
価格:¥1,680(税込)

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そんなわけで、本書を手に取ってみることにしました。
この著作では、「終末期医療」問題を取り上げています。一連の彼の著作で舞台となってきた東城大学がある桜宮市にあるもう一つの病院「桜丘病院」。東城大学病院が「光」とすれば、桜丘病院は「闇」を受け持つ。光と闇は「生」と「死」をも意味するわけで、治療は東城大学、再発すれば桜丘病院と分業が進んでいる。そういうシチュエーションで、主人公の医学生「天馬大吉」と、桜丘病院に医師、看護師として潜入する厚生労働省官僚の白鳥、そしてその部下「氷姫」こと姫宮が、桜丘病院が抱える闇の問題を暴いて行くというストーリーです。
奇想天外なキャララクターとして描かれてきた白鳥が時間経過とともに、少しずつ存在感が薄くなってきているのは残念です。
それはさておき、本作で筆者が主張しているのは、大きく言うと2つ。
まずは終末期医療の問題。現在の政策は、生きているものには金は出すが、死に行く者のは金は掛けないというもので、この状況下では、終末期医療はますます衰退していく。合理的と言えば合理的ですが、本書ではデスコントロールという倫理上の問題の可能性を予見しています。
もう一つは、死亡時医学検索の手法上の問題。現在の、「死」の医学に金を掛けない政策は解剖率の低下をもたらし、死因不明のまま不正確な死亡診断書が記述されるケースが増えていると危惧されます。解剖自体が証拠隠滅につながるという根源的な問題もあり、著者が一連の作品の中で訴えているオートプシー・イメージング(AI)が有効な手段であるにも関わらず、国内ではそれが認められていないことが問題であると主張しています。これは筆者の本業(大学病院勤務医)における重要なテーマであり、随所にそのメッセージが織り込まれています。
この作品は舞台は東城大学から離れている上、田口の出番がほとんどないことから、「バチスタ」「ナイチンゲール」「ジェネラル・ルージュ」三部作の続編とは言い難い作品ですが、三部作のストーリーと並行して、進行していたもう一つのストーリーとして、三部作の読者は読んでおくに値する作品です。最後は、さらに今後の著作において登場するであろう一人の女性の存在の余韻を残しつつ、物語を閉じています。どこに出てくるのか、今後の著作が楽しみです。

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